コロナ禍におけるビデオコミュニケーションの影響とリモートワークの未来に関する調査結果

コロナパンデミックにより働き方が大きく変化する中、ビデオコミュニケーションは、仕事や学業を継続し、社会生活を送るためのライフラインとなりました。Zoom は、パンデミックにおけるリモートワークとビデオコミュニケーションソリューションの経済的影響を評価するために、ボストンコンサルティンググループ(BCG)と調査を行いました。調査では、企業がこの時期にどのようにビデオ会議を利用してビジネスプロセスを転換し、ビジネスの継続や成長を保つことができたのかといった点に焦点を当て、さらに業界ごとに分析しました。調査は、日本を含む世界主要6 カ国の中小企業と大企業の両方を対象に行われました。
主な結果(グローバル)
- 調査対象企業において、リモートワークを行う従業員が2.5 ~3.0 倍に増加し、ビデオ会議ソリューションを利用する従業員が2.4 ~2.7 倍に増加しました。調査対象企業では、ビデオ会議ソリューションに費やす総時間が3 ~5 倍に増加しました。
- 調査対象となった管理職の70 %が、パンデミック前に比べて柔軟なリモートワークモデルを受け入れています。
- ハイブリッド・ワークモデルは今後も継続される予想 – 調査対象企業では、パンデミック後も3 分の1 以上の従業員がリモートワークを行うと予想されています。
日本国内の傾向
中小企業の傾向 (国内)
- 日本の中小企業は、2019 年から2020 年の間に、リモートワークの実施に向けて大きく変化しました。具体的には、リモートワークを行う従業員が6 倍に増加しています。
- これに伴い、従業員が、ビデオコミュニケーションツールを使用する時間は、平均で週に2.3倍増加しました。
- 従業員が、Zoom を使用する時間は、週に8.3 倍増加しました。
- 71 %の中小企業が、無料のZoomアカウントを使用しています。
- 63 %の中小企業が、「ビデオ会議ツールは、パンデミック後もビジネスに欠かせないものとなる」ことに同意しています。
大企業の傾向(国内)
- パンデミック以前は、大企業でもまだリモートワークに大きく踏み切る企業は多くはなく、リモートワークの導入にかかる高いコストやシステムの整備、変化に対する抵抗感がありました。しかし、2019 年〜2020 年には大きな変化があり、リモートワークを行う従業員が7倍に増加しています。
- これに伴い、従業員が、ビデオコミュニケーションツールを使用する時間は、週に2.1 倍増加しました。
- 従業員が、Zoom を使用する時間は、週に10.5 倍増加しました。
- 62 %の大企業が、「ビデオ会議ツールは、パンデミックにおいて、従業員の生産性の向上に貢献している」と回答しています。
- 77 %の大企業が、「ビデオ会議ツールは、パンデミック後もビジネスに欠かせないものとなる」ことに同意しています。
業界ごとの傾向
パンデミックによる経済的影響を免れた業界はありませんでしたが、一部の業界では、行動を劇的に変化させて対応することができました。今回の調査では、金融、ヘルスケア、教育、テクノロジー、プロフェッショナルサービスの各業界が、パンデミック時に継続的な活動を可能にするために、どのようにリモートコラボレーションを取り入れたのか、また、今後どのような傾向が続くのかを調べました。
金融:国内の金融業界において、パンデミック中にビデオ会議ツールを使う従業員は9.5 倍となりました。これに伴い、従業員が、ビデオコミュニケーションツールを使用する時間は、週に22 倍増加し、Zoom を使用する時間は、週に24 倍増加しました。金融業界の中小企業においては、75 %が「ビデオ会議ツールは、パンデミック後もビジネスに欠かせないものとなる」ことに同意しました。
ヘルスケア:グローバルでは、調査対象となった企業の67 %が、「ビデオ会議ソリューションを通じて、リモートでの協働に成功したため、所属する企業が柔軟なリモートワークのモデルを検討している」という項目に、同意しています。また、国内のヘルスケア業界においては、Zoom の満足度が高く、10 点中7.3 を獲得しています。
教育:パンデミック期間中、グローバルでは、調査対象企業におけるビデオ会議ソリューションの利用が3.5 倍に増加しました。国内の教育業界においては、パンデミック中にリモートで働く従業員が5.4 倍となり、ビデオ会議ツールを使う従業員は4.7 倍となりました。教育業界の中小企業においては、72 %が「ビデオ会議ツールは、パンデミック後もビジネスに欠かせないものとなる」ことに同意しました。
テクノロジー:グローバルでは、調査対象となった企業の84 %が、「ビデオ会議ツールは、パンデミック後もビジネスに欠かせないものとなる」ことに同意しました。
プロフェッショナルサービス:グローバルでは、調査対象企業において、パンデミック時にリモートワークが2.7 倍に増加しました。
リモートワークの未来に関する他国との比較
リモートワークのトレンドは、パンデミック後も続くでしょう。オフィスに戻る従業員もいれば、多くの従業員はリモートまたはハイブリッドでの働き方を継続し、バーチャルなコラボレーションを行っていくでしょう。今回の調査対象となったほぼすべての国で、リモートワークが引き続き普及することが明らかになっています。
- 40 %前後の企業が、「パンデミック後も、30 %以上の従業員がリモートで働く」ことを予測しています。日本の数値は43%となっています。
- 50 %以上の企業が、「パンデミック後も約半数の従業員がビデオ会議を使用する」ことを予測しています。日本は他国と比較して最もこの数値が高く、65 %となっています。
- 一方で、二つの項目で日本の数値が他国を最も下回りました。一つ目は、「ビデオ会議ソリューションを通じて、リモートでのコラボレーションに成功したため、所属する企業が柔軟なリモートワークのモデルを検討している」という項目で、最も高いインドが87 %だったのに対し、日本は46 %に留まりました。2 項目は、「ビデオ会議ツールは、パンデミック後もビジネスに欠かせないものとなる」という設問で、多くの国が80 〜90 %となっていたのに対し、日本は69%となりました。
グローバル全体で見ると、今回のパンデミックにより、企業はリモートワークによる柔軟性と俊敏性を維持するために、従業員の生産性を犠牲にする必要がないことが証明されました。適切なソリューションとプロセスを導入すれば、従業員はどこにいても効率的に働くことができます。
また、人材を育て、維持するためには、ハイブリッドなアプローチが必要です。パンデミックの影響で、人々は特定の地域を離れ、遠隔地の仕事に応募したり、受け入れたりして、より地理的に多様な労働力が生まれました。このようにグローバルな人材が増えている今、ハイブリッドな人材を育成することは、決して贅沢なことではなく、必要なことなのです。
まとめ
コロナパンデミックのインパクトにより、世界は変わり、どこでも働くことができるようになりました。調査結果からは、人々は今後も協力してあらゆる障害を克服し、テクノロジーが次の時代を定義する上で極めて重要な役割を果たし続けることがわかります。パンデミック時にビデオ会議やリモートワークがもたらした経済効果や、今日のビジネスにおける次の課題についての詳細は、「The Impact of Video Communications During COVID-19」レポート全体をお読みください。