エンゲージメント、生産性、信頼。ビデオ通話が社員のコミュニケーションにもたらすもの

コロナパンデミックの影響で、リモートワーク、対面、そのハイブリッドと、従来の働き方の概念は大きく変化しました。ビデオでの通話が一般的になり今後の働き方についても選択肢は広がっています。コミュニケーション方法が変わることで社員間の関係性や仕事の質はどう変化したのでしょうか。
リサーチ企業 Morning Consult 社が米国の労働者を対象に実施した調査では、ビデオ会議がエンゲージメント、生産性、信頼を高めていることがわかりました。実際に対面しなくてもビデオ会議を通じて同僚やクライアントと「対面」で話すことができるビデオ通話の価値が高まっています。
主な調査結果
- エンゲージメントと生産性が向上する
- ビデオをオンにすることで相手に対するオープンさが増し、信頼関係が構築される
- これからの働き方にとって重要な要素になる
- リモートとハイブリッドワーク
2021 年前半にはビデオコミュニケーションが重要視されるようになり、フルリモートで働くと回答した人は、対面のみ、またはハイブリッドよりも多くなりました。(調査では「ハイブリッドワーク」を「一部はオフィス環境で、一部はリモート環境で行われる仕事」と定義)
調査対象者の多くは、どこで仕事をしていても、自分の仕事(70%)にとてもやりがいを感じ、同僚や顧客(55%)とのエンゲージメントを感じています。これは、ビデオでのコミュニケーションがチームのつながりを保ち、生産性を高めるテクノロジーであることを証明すると考えられます。


また、働く人に最も望まれているハイブリッドワークの環境ですが、その多くの人がこれまでと同じように働き続けることに関心を持っているということも注目すべき点です。
コミュニケーションのスタイル
人によって好むコミュニケーション方法は異なりますが、コミュニケーションをとる相手と交流の内容によって、以下のような傾向が見られます。
- 人との交流やチームビルディングを通じて個人的なつながりを持つ場合は、対面でのコミュニケーションが好まれる
- 半数近くがビデオ通話は頻度が多くなったり長すぎたりし、仕事に集中するのが難しくなると感じている
- ほとんどの調査対象者は、同僚への簡単な社内の質問は、チャットや電子メールで行うのがベストだと感じている
71% の回答者は、一部のビデオ通話は、チャットや電子メールで送信した方が良いと回答しています。ビデオだけでなくテキストを併せるなど、コミュニケーションの内容に応じて、最適なバランスをとることが質の良いコミュニケーションの鍵になります。
ビデオ通話が好まれるビジネスシーンは?
直接会ってのミーティングが不可能な場合、以下のような場面でビデオ通話が希望されています。
- 求職者の面接
- クライアント/社外関係者へのプレゼンテーション
- 社内の同僚へのプレゼンテーション
- 社内のチームビルディング活動への参加
- クライアント/社外関係者とのワークセッション

ビデオをオンにする
特定の通話や会議の際に「カメラをオンにすることに価値がある」という調査結果がありますが、実際にどのような場合に有益だと考えられるのでしょうか。調査対象者は、以下のような場合にビデオをオンにすることが多いと回答しています。また社内で同僚にちょっとした質問があるときにビデオをオンにする可能性が最も低いことがわかりました。
- 求職者と面接するとき (66%)
- クライアント/社外関係者へのプレゼンテーション(64%)
- クライアント/社外関係者とのワークセッション(63%)
- 社内のチームビルディング活動への参加(59%)
- 社内の同僚へのプレゼンテーション(59%)
- 上司と 1 対 1 の面談(59%)
- クライアントとの付き合い(59%)

ビジネス上での「ビデオをオン」にするメリット
特定のビジネスプロセスでは成功のために、ビデオをオンにするのが重要であることも分かりました。
- 84% の人事担当者は、採用する人物がビデオをオンにすることでより信頼できると感じている
- 82% の人事担当者は、自分や同僚がビデオをオンにしているとき、一緒に仕事をする強いチームを作る能力が高まったと感じている
- 63% の人事担当者は、候補者を面接する際、他のデジタル手法よりもビデオを好んでいる
- 70% の営業/マーケティング担当者は、ビデオは顧客・潜在顧客との信頼関係を深めるのに役立つと回答
- 67% の調査対象者が、ビデオを活用することで取引の成立を助けていると回答
- 59% の調査対象者が、ビデオは自社ブランドの認知を加速させるのに役立つと回答

エンゲージメント向上の理由
ビデオをオンにしたときに、人々がよりエンゲージメントが高まると感じる主な理由は、顔やボディランゲージを見ることにあります。そのほかの理由は以下の通りです。
- 動画が表示されていると、マルチタスクができないので、集中せざるを得ない
- 人と話すときにアイコンタクトをとることの重要性を感じる
- ビデオ通話をすることで、よりパーソナルなつながりが生まれる
生産性向上
実際に仕事をする際、大多数はカメラをオンにした方が生産性は高いと感じています。
- 半数以上(59%)の調査対象者は、個人で仕事をする場合と比較して、ビデオをオンにした方が生産性は高いと回答
- 多くのピープルマネージャー(69%)は、直属の部下がビデオをオンにしたときに生産性が上がると感じている
- ハイブリッドワーカーは、フルリモートや対面のみで働いている人よりも、ビデオをオンにしている方がより生産的だと感じている

信頼
- 10 人のうち 7 人(70%)が、ビデオを見ることで顧客との信頼関係が高まったと感じている
- 約 3 人に 2 人(67%)が、ビデオを利用することで、同僚とより深く、信頼できる関係を築くことができると感じている
- 67% が、ビデオがある方が取引を成立させやすいと回答
- 61% が、カメラがある方が仕事のパフォーマンスが上がると回答

他者から見たあなた
リモートワークの環境でも、ビデオをオンにし上司や同僚と顔を合わせることで、生産性の高い従業員として自分をアピールすることも可能になります。
同僚
- 79% が、同僚がビデオをオンにしているとき、注意を払っていると感じている
- 75% が、ビデオがオンになっていると、より親密感が増すと感じている
- 75% が、ビデオがオンだと、ディスカッションの質が向上すると回答
- 67% が、ビデオをオンにしている同僚をより信頼する
マネージャー
- ピープルマネージャーの 72% が、直属の部下がビデオをオンにしているとき、より熱心に取り組んでいると感じている
- ピープルマネージャーの 69% が、直属の部下がビデオをオンにすることで、より生産的になったと回答
- また 84% の人が、自分も同僚もビデオを見ている方が、一緒に仕事をする強いチームを作ることができると感じていると報告しています。

ビデオが可能にする未来の働き方
今後ビデオでのコミュニケーションが無くなることはありません。75% の調査対象者が、ビデオをオンにすることが将来の仕事において重要な要素になると答えており、ほぼ同数(72%)の人が、企業がハイブリッドワーカーをサポートする体制がより良くなると考えています。

同僚やクライアントとのビデオを介したコミュニケーションにおいて、エンゲージメント、生産性、信頼のすべてが向上しています。
すべての通話でカメラをオンにすることを義務づけるべきだという人はほとんどいませんでしたが、今回の調査は「ビデオをオン」にする文化を受け入れることが個々の貢献だけではなく、チームにも利益をもたらすことができることを示唆しています。
信頼性の高めるビデオ通話。それと同じくらい重要なのは、すべてのやりとりがビデオ通話である必要はないということも理解することです。
【企業の事例】
グループ 12 万人の“働き方 DX ”を実現するための重要なコミュニケーション基盤としてZoomを活用
50 か国以上の国、そして世界 301 拠点でビジネスを展開、ICT 業界のリーダーとして多くの顧客が抱える課題に応えるソリューションを提供している日本電気株式会社。1990 年代から在宅勤務制度をスタートさせるなど、柔軟な働き方につながる先進的な活動にいち早く取り組み、現在は従業員から選ばれる会社になるためのエンゲージメントスコアを 2025 年度までに 50% に向上させることを目標の 1 つとして掲げ、働き甲斐が感じられる環境づくりに向けて、NEC グループ約 12 万人が日々利用するコミュニケーション・コラボレーション基盤に対する積極的な投資を進めています。
オフィスとリモートワーク環境を接続する仕組みが煩雑、なかなか定着しない中、グループ内にあらたな働き方を定着させるべく注目したのが、会議室に設置して PC やスマートデバイスから簡単に Zoom に参加できる Zoom Rooms でした。「従来の専用端末に比べて使い勝手に優れているなど、従来の働き方を大きく変革するソリューションとして注目したのです」と経営システム本部 マネージャー 本泉 俊一氏。同時に、オフィスに出社して働くという従業員のマインドを大きく変えるべく、2017 年より官公庁が主催するテレワーク・デイに参加し、Zoom を活用したリモートでのコミュニケーションを文化として定着、醸成させていく活動も推進。インフラ整備と文化の変革をセットに、コミュニケーション環境を中心とした働き方改革を推進してきました。
現在は、約 12 万人が所属する NEC グループの全社員が自由に Zoom Meetings を利用できるだけでなく、Microsoft Teams も利用できる環境を維持しており、日々 3 万回以上のリモート会議を実施しています。
「無理やりツールを統一するのではなく、従業員に選択肢を提供することで従業員エクスペリエンスを高度化し、結果エンゲージメントを強化していきたい。また、クラウドサービスの特性上、万一障害が発生したときにはクラウドベンダー側の対応を待たねばならず、リモートワークの生命線であるコミュニケーションが断絶してしまう可能性もあります。BCP 対策も含めて複数の環境を用意していくことが重要だと考えています」
本泉 俊一氏(経営システム本部 マネージャー)
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人々が望むあらゆるコミュニケーション方法、その文化を構築することで、柔軟なビジネス・コラボレーション、成功への道を切り開くことができるのです。