顧客体験成熟度モデルの作成: CX の進捗の測定

顧客体験成熟度モデルの作成: CX の進捗の測定

最も成功している企業のリーダーは、その市場で最高の顧客体験(CX)を提供することが、顧客ロイヤルティと収益の拡大につながるということがわかっています。 そして同時に、顧客体験成熟度を達成できなかった際は甚大な損失を被ることも認識しています。

Morning Consult の調査によると、回答者の半数以上が 1~2 回の悪い顧客体験で競合他社に乗り換えると回答しているそうで、企業にとってポジティブな CX への注力が不可欠となっていることが浮き彫りになりました。 顧客体験成熟度モデルを作成しておくと、顧客満足度とビジネスの成功を両立させながら、ビジネスを軌道に乗せるためのインサイトを得ることができます。

ここでは、顧客体験成熟度モデルを作成する方法について、知っておくべきことをすべて説明します。

顧客体験成熟度モデルとは?

顧客体験成熟度モデルは、CX に対する顧客の期待にどの程度応えているか把握するための枠組みです。 CX 成熟度モデルは、企業が当てずっぽうで顧客体験を評価する無駄を省き、企業が優れている領域を示してくれます。 また、的外れな CX 戦略を採用している領域を明らかにし、その改善に役立つ情報を教えてもくれます。

顧客体験における進捗の評価方法と優先順位の付け方

顧客体験は、成り行きに任せるには重用すぎる戦略です。 最高体験責任者(CXO)または CX リーダーを任命し、責任を持って顧客体験管理プログラムを実行してもらうことが、最善の戦略です。

そして CX リーダーには、チームが新しいイニシアチブをプロセスやワークフローに確実に統合できるよう、チェンジ マネジメントにも取り組んでもらいます。 さらに、顧客体験の向上における各自のロールの重要性を従業員が理解するよう徹底するのも、CX リーダーの仕事です。

このような CX の目標を達成するために役立つのが、顧客体験成熟度モデルです。このモデルを使用すると、CX リーダーは組織の現状を把握し、最大の効果を上げるためにどのようにイニシアティブの優先順位を付けるか理解し、長期的にパフォーマンスをモニタリングできます。

顧客体験成熟度モデルのアクション領域とその使用方法への理解

CX 成熟度モデルは、顧客体験の向上、顧客ロイヤルティの向上、顧客生涯価値(CLTV)の向上を主導する顧客体験専門家にとって、価値のあるツールです。

このモデルは、顧客中心の組織になるために必要な 5 つのアクション領域を網羅していて、企業はその業績に対して「優れている」から「改善の余地あり」または「早急な対応が必要」に至るまで、点数を付けることができます。

以下に、重点的に取り組むべき項目を紹介します。

1. データ

顧客が求める CX を作成するためには、その前に顧客が何を求めているのか把握する必要があります。 理想的な顧客ジャーニーを探り出すためには、直感や裏付けに乏しい情報だけでは限界があります。 データに基づいた意思決定は、より良い結果を生み出します。

顧客体験管理チームは、数多のデータソースを利用できます。 しかし、CX 戦略を最新の状態にする際には、顧客の声に耳を傾け、その内容を考慮することが極めて重要です。

現実世界における、顧客体験成熟度モデルのためのデータ収集

顧客の行動や好みは、運営データの収集や分析、ウェブやソーシャル メディアからのデータのスクレイピング、チャットボットとのやり取りやメールの分析などから収集して把握できます。

顧客が何を望んでいるか判断する極めて効果的な方法は、顧客に尋ねることです。 短いアンケートをとって顧客のフィードバックを収集すると、企業が提供する CX に関する重要なインサイトが手に入るので、顧客が何を期待しているのか理解を深めやすくなります

2. デザイン

データ インサイトを使用して顧客の好みを明確に思い描くことができたら、次のステップは、顧客が喜ぶ顧客体験のデザインです。 矛盾を最小限に抑えるために、顧客体験は正式に文書化して作成する必要があります。 最高の顧客体験デザインは、直線的な顧客ジャーニーにとどまらず、総合的なアプローチを通じて顧客がやり取りできるあらゆる接点を考慮しています。

プロダクトの開発、営業、顧客サービス、育成、リーダーシップからなるチームを結成すると、CX プログラムにあらゆる視点を組み込むことができます。 また、全部門を代表するチームを編成しておくと、思い描く顧客体験をまさにブランドとビジネス目標に沿ったものにすることができます。  

ビジョンを実現した企業の実例

ディズニーは、CX 戦略の可視化と実行に成功している組織の好例です。 Disney Institute のサイトには、顧客体験に関する業界トップのコンテンツが多数掲載されているので、顧客体験を構築するにあたってインスピレーションが湧くかもしれません。

3. 実行

満足度の高い顧客基盤の構築に役立つ顧客体験を描き出すことができたら、次は CX プログラムを実行する番です。 CX 戦略がこれまでの運営方法と違う場合は特に、従業員のトレーニングが不可欠です。

顧客体験を最適化するためには、企業文化や日々のプロセスを大幅に変更しなければならないかもしれません。 CX を強化するための計画を、従業員に周知徹底させましょう。

テクノロジーはいかに企業の CX 実行に役立つか

2020 年代は、消費者が圧倒的にデジタル ファーストに傾く転換期になりそうです。 従業員は、優れた顧客体験を提供するためにいつだって不可欠な存在ですが、顧客はセルフサービスの提供やその他のデジタル エンゲージメント オプションの提供を期待するようになるでしょう。

独自の AI チャットボットを導入している Zoom は、セルフサービス率 93% を達成しています。つまり、Zoom のインテリジェントなチャットボットとお客様との会話のうち、100 回に 93 回は生身のエージェントの手を借りずに解決できているのです。

Zoom Virtual Agent

4. 測定

CX プログラムを作成または最適化する前に収集したデータを基準に設定し、そのデータを使用して顧客サービスの指標をベンチマークし、新しい CX 戦略が顧客満足度と顧客ロイヤルティにどのような影響を与えるか測定しましょう。 デジタル時代は、複数のチャネルでフィードバックを求めたりデータを収集したりできるため、新しい CX 戦略が機能しているかどうかさらに明確に把握できます。

企業における顧客満足度を追跡する方法

データの収集や分析、そして主要業績評価指標(KPI)のモニタリングは、顧客満足度を測定し、変更を加えながら顧客満足度を追跡できる優れた方法です。 企業の CSAT スコアの追跡は、顧客にアンケートを取ってその幸福度を測る、シンプルなれど効果的な方法です。

例えば「顧客サービスでの経験をどのように評価しますか?」など、CX の要素について率直な質問をします。そして、顧客に 5 段階で評価してもらい、4 または 5 と回答した回答者の割合から CSAT スコアを割り出します。

CSAT のインサイトは、優れた顧客サービスを提供する方法を理解するためには、どこにリソースを集中させるべきか教えてくれます。

5. 文化

CX ガバナンス計画は、書類上は優れものに見えるかもしれません。 しかし、企業文化がその計画に合致していなければ、顧客体験は損なわれてしまいます。 ビジネスの中核となる価値観から生じる企業文化には、雇用者、管理スタイル、方針、プロセスなど、多くの要因が影響を及ぼします。

顧客体験成熟度モデル指標を更新する際には、企業文化が CX に与える影響を評価し、注意を払う必要がある領域にフラグを立てましょう。

チームのモチベーションを高める実践的な方法

肯定的なフィードバックの共有は、日々の業務フローに追加できる簡単な変化です。共有することで、常に CX を念頭に置きながら企業文化を向上させることができます。 顧客から届いた、企業が提供するプロダクトやサービスに顧客がどれほど喜んだか、あるいは期待を大きく超えた対応をしてくれた従業員(または、怒っている顧客のなだめ方を知っている従業員)に顧客がどれほど感謝しているか伝えるメッセージを共有すると、士気を高めることができます。

顧客サービスに従事していない従業員は、このようなフィードバックに触れることはないのかもしれません。 フィードバックを共有することで、組織にいる全員が顧客満足とビジネスの成功における自分のロールを理解し、全員のモチベーションが上がって、ポジティブなフィードバックが次々と寄せられるようになります。

次のステップ

顧客体験成熟度モデルの枠組みに記入し、各セグメントを採点したら、企業が提供する CX を改善するロードマップのできあがりです。

この顧客体験成熟度評価によって、最も必要な領域に時間とリソースを集中させやすくなるので、結果として顧客満足度、顧客ロイヤルティ、ビジネスの成功という点において、ROI を最大化することができます。

会社の方針やプロセスに変更を加えるときはいつでも、組織内のあらゆるレベルで賛同を得ること、そして一貫して優れた顧客体験を生み出す組織的な取り組みを徹底することが極めて重要であることを忘れないでください。それでも、顧客はエンゲージメントを選択します。

CX 成熟度モデルを作成するにあたって Zoom はどのように役立つか

企業の顧客体験成熟度モデルの作成は、1 回で終わる作業ではありません。 このモデルは、長所と短所を指摘し、競争力を高める優れた顧客体験に向けて前進できるように手助けし、収益と成功の増大に直結する顧客ロイヤルティを喚起できるようにデザインされています。

しかし、このモデルの 5 つの領域(データ、デザイン、実行、測定、文化)の情報を入力し、パフォーマンスを分析するには、時間がかかります。

Zoom がサポートします。 Zoom バーチャル エージェントは、自然言語処理(NLP)を活用して顧客を理解し、センチメントを検出する、Zoom のインテリジェントな会話型 AI チャットボット ソリューションです。 これは、今日の顧客満足度のベンチマークや、顧客体験プログラムに変更を加える際の進捗状況をモニタリングするときに使用できるデータです。Zoom バーチャル エージェントは、データの収集と分析を自動化します。顧客満足度を注視する方法、そして顧客体験成熟度モデルをより効率的に活用する方法については、Zoom にお問い合わせください。

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