Zoom日本法人代表 佐賀文宣が振り返る2020年と、2021年の展望は?

Zoom日本法人代表 佐賀文宣が振り返る2020年と、2021年の展望は?

2020年、日本の皆さんにとってもZoomにとっても、予期せぬチャレンジに出会いながらそれを乗り越えていくような一年になったのでは無いでしょうか。Zoom Video Communicationsの日本法人代表 佐賀文宣に、今年1年間の変化と来年の展望に関する7つの質問を尋ねました。

Q1. 佐賀さんから見て、2020年はどのような年になりましたか?

本当に嵐のような1年間でした。物凄い追い風が吹いたと思ったら、物凄い逆風が同じ嵐の中に存在したりして。嵐のように毎週いろいろなことが変わったので、社員みんなでそれに立ち向かって行ったとも言えます。

例えば、ビデオコミュニケーションの需要が高まり、またそれに伴って急激に認知度が高まったことは追い風と言えます。去年日本に参入した時には、マーケティングにどのくらい投資して認知度をあげようかと考えていたものが、お陰様で今年は一気に認知度が上がり、流行語大賞に選出されるほどになりました。

一方で、その需要の高まりに伴って、社員の手が全く足りなくなったことは、向かい風であったと言えると思います。去年の今頃はまだ社員数20人を超えるぐらいで、年初の段階でも30人規模だったので、お客様からのお問い合わせをいただいても、タイムリーな回答ができない状態になりました。そこで、採用活動はかなりのハイペースで行いました。一方で、3月に学校が一斉休校になり、経済産業省の「学びを止めない未来の教室」プロジェクトに協力する形で、無料でZoomのライセンスを出し始めました。もちろん30人で手分けをして4000校にライセンスを手作業で配布したので大変な作業ではありましたが、皆がすごく「やるべきことをやっている」という正義感と充実感を感じたという意味で、これは追い風になりました。

また、セキュリティ関連については、向かい風でありながら、色々なご指摘を通して本当に勉強できましたし、その対策によってZoomは進化しました。それがなければ今のZoomはないと言えます。日本からもお客様からのご要望などは全て本社に伝達しましたし、内閣サイバーセキュリティーセンター(NISC)や、IPAなどの国内のセキュリティ組織や団体の方々と、アメリカのセキュリティ責任者とのミーティングを行ったりもしました。また、既存のお客様には個別に私や社員が対策の内容をご説明し、ブログやSNS、報道なども通じて、より幅広く皆様に対策についてご説明してきました。また、2020年11月には、 安全基準へ対応したことで、セキュリティ面を警戒する金融機関へも安心してお使いいただけるようになりました。

Q2.コロナの発生によって、世界はどのように変化しましたか?

まず、好むと好まざるとにかかわらず、リモートという働き方にチャレンジせざるをえない状況になりました。しかし、お客様からは、「リモートでも、結構いろいろなことが問題なくできましたよ」という反応でしたね。一方で、リモートでの働き方が長く続くと、対面のコミュニケーションがどれだけ重要だったのかということにも気付かされたのではないかと思います。リモートの「対面でなければなければならない大切な部分」と、「リモートでも可能な効率化できる部分」がだんだんわかってきたのではないかと思います。

あと、一つ強く思ったのは、「リモートを終えて早く会いたい」と言っているのは、オフィスワーカーだけなんですよね。宅配、病院、保育園、商店などの仕事で、エッセンシャルワーカーとして結局どんな状況下でも職場にいかなければならない人達がいて、そういった人々が社会を支えてくださっているからこそ、一部のオフィスワーカーのリモートワーク が成り立っているといった構造が浮き彫りになりました。これは良くない状態で、もっと現場も含めてリモートワーク にシフトできる部分が必ずあるはずだと思っています。今までにはなかった工夫が必要となりますが、そういった部分を少しでもリモートワークに移行し、「みんなのリモートワーク」にしなければならないと考えます。

Q3. 佐賀さんご自身の働き方はコロナによって変化しましたか?また、Zoom社員の働き方も変化したと思いますが、チームをマネージするために気を付けていることや社員がお互い気を付けていることはありますか?

緊急事態宣言前の3月あたりから完全に私も社員も100%リモートワーク になりました。私の場合、それによって、家族との付き合い方も変わってきました。毎朝娘を駅まで送って行きますし、家族と会話する時間は増えました。今はおさまったのですが、実は最初は、一日中家にいることで喧嘩も増えました。例えば、仕事しているのに家族が掃除を始めたり、後ろでは娘が授業を受けていたりと、全員がリモートで家にいる環境になりましたので。でも、その後に感じたことは、喧嘩できることも含めて、まだ幸せなのかもしれないということです。例えば、一人暮らしの社員は、喧嘩もする相手もおらず、一日中リモート勤務で孤独になっていく状態があり、リモートワークの真の問題は孤独だと感じました。

ですので、そういった孤独感を減らし、またコミュニケーションを向上するために、Zoom内でも工夫をしました。Zoomでは、ミーティングだけではなく、色々なサイズのコミュニケーションを、Zoomを使って顔を見せて行うようにしています。例えば、一対一や少人数のミーティングであっても同じです。歓迎会や飲み会もZoomを使って行っています。今、70人ほどいる社員の中の30人近くは、私は実際に会っていません。それでも、お客様への訪問などで会う機会があった時にも、日頃から顔を見せてZoomでコミュニケーションをとっているので、当然全く初めて会った気はしません。

Zoom内では、このビデオをオンにするということを、規則にしているというよりは当たり前に行っています。お客様にも「なぜそのようにしないのですか?顔を見せた方が濃いコミュニケーションができますよ」と言い続けてきたのですが、逆に、ずっと顔を見せていることが疲れてしまうという側面もあります。でも、そんな時は、写真でも良いじゃない?と思っているんです。時にはビデオをオンにして感情を見せながら、疲れた時は写真を表示しながら、それを両立することが、長続きする秘訣だと考えます。それが、無理なくZoomを普段使いしながら、コミュニケーションを保つ秘訣とも言えます。

また、それ以外に気を付けていることとして、リモートワークで時間の制限がだいぶ柔軟になっていますので、それを変に制限しないようにしています。例えば私のように子供の送り迎えがあったり、家族の通院をサポートしたり、男女関わらず食事を作ったり、それぞれいろいろな仕事以外の予定がありますよね。そのために、朝4時に働いて昼過ぎに仕事を終えても良いんです。せっかく柔軟になった時間を、お客様に迷惑をかけない限りは、なるべく活用できるように制限しないようにしています。

さらに、「寛容である」ということも重視しています。例えば、ミーティングの中に子供が入ってきて抱っこしながら参加したり、ペットが横にいたり、「それでも大丈夫」という寛容さが大事だと思います。顔を出す自由と出さない自由、背景をバーチャルにする自由としない自由、いろんなことに寛容になるということ。そういうところを、どうしてもルールを決めて縛りたくなるじゃないですか。でも、むしろそうしないことで、社員のパフォーマンスが維持できるのだと思います。時間の柔軟性についても同じことで、時間を柔軟にするとダラダラしてパフォーマンスが上がらないんじゃないかと思いがちですが、逆にモチベーションが上がってパフォーマンスが維持できます。それが分かったのが、この1年間だと思います。

Q4. Zoomは、どのようにコロナパンデミックへの対策を支援しましたか?そしてどのように貢献し続けていますか?

最初はやはり、経済産業省の「学びを止めない未来の教室」のタスクチームから、「子供たちの学びを止めたくないので、協力してほしい」と言われた時に、Zoomの無料ライセンスを3月から5月までの期間4000校に手作業で払い出したことでした。それがあったので、Zoomのグローバルでの対応が早かったと言えます。どういうことかというと、日本の対応のためにグローバルチームが毎日ミーティングに参加してくれていまして、そうしているうちにコロナがアジアの問題だけではなくヨーロッパに広がってアメリカに広がりました。ですので、日本で先に対応することで、サーバーをダウンさせないための増強を含めて、グローバル全体での準備が本当にうまくできました。

また、このコロナパンデミックの時期に、ビジネスユーザーだけではなく、一般消費者や学校内で急に使い始められたことが、Zoomにとって大きかったと思います。それまではやはり、企業のお客様を中心にZoomのソリューションを提案していたので、IT担当者や管理者がいて、Zoomが備えるセキュリティ機能を活用して設定をし、使い始めるのが当たり前のパターンでした。しかし、ユーザーが爆発的に増えた時に増加したのが、個人のお客様や無料のお客様、学校関係のお客様でした。学校の先生が、セキュリティの機能を事前に設定して使用することはあまり無いですよね。そういった方でも使えるように、IT管理者に代わってセキュリティの機能をきちんと事前に設定しているとか、メニューの深いところに行かなくてもセキュリティの機能が1箇所にまとまっているとか、そういった改善を、4月〜6月に沢山行いました。

そうやって、パンデミックの中で改善することで、Zoomは個人と企業が共通で使えるプラットフォームとなりました。今までは、企業向けのウェブ会議システムはビジネスユーザーをメインの対象としていて、個人向けのアプリは一般消費者を対象としていて、その間を繋ぐソリューションが無かったんですよね。それを、パンデミックの環境下だったから、企業と個人が繋がる必要が出てきて、結果的にそこにZoomが貢献できました。ビジネスだけではなく、個人や学校でも安全に使える製品に、製品を進化させることができました。

Q5. 特に今年、特徴的なお客様はいらっしゃいましたか?そのお客様はどのようにZoomを活用していらっしゃいましたか?

先ほどお話しした、現場とオフィスワーカーのリモートワーク格差という問題にもつながりますが、現場でリモートワークが導入されていないわけではなく、現場での使い方にチャレンジされているお客様がいらっしゃって、それを逆に教えてもらったんですよね。

一つは大分県。県外企業を農場に誘致し、レモンの生育状況のアップデートにZoomとドローンを使用していると伺いました。また、豪雨などの災害の際にドローンを使用してZoomで本部と中継をして意思決定を早める取り組みを行う予定です。また、遠隔授業向けに全ての公立の学校にZoomを導入し、市民サービスにも積極的に取り入れています。10月に包括契約を結んだため、サポートをさせていただいていますが、なんというかニーズに引っ張られてどんどん活用方法が生まれていて、逆にこちらが勉強になりました。

また別の例では、日本航空(JAL)さんですね。ITの担当部署からライセンスを配っただけなのに、現場にいる方々が使い方をリードし、提案をしてくれたとのことでした。例えば、客室乗務員の方々が機内サービスの研修をZoomで行ったり、整備工場のスタッフがZoomを活用することで新しい知識を得たり、カウンター業務では世界中のカウンターと日本の本社を繋いですぐに状況をシェアして意思決定をしたりといったことをなさっています。

また、その他のお客様は、スマートグラスとZoomを使って、ビルやエレベーターのメンテナンスを行っている例もあります。図面を本部からZoomで送って、現場にいながらスマートグラスに映った図面と指示に従って整備を行っていらっしゃいます。

私たちにとって、オフィスワーカーもお客様ですが、現場で働く方もお客様であり、日本人全員がお客様だと気づくことができたのが、私にとって今年の大きな変化でした。Zoomは、幅広いユーザーが使用可能な共通プラットフォームだということと、通信環境が悪くてもデータ量を消費せず、普通はつながらないような場所でもZoomだと繋がるという点で、とても現場に合っているのだと言えます。

Q6. これからのニューノーマル時代の「ハイブリッドな働き方」は、どのようなものになっていくでしょうか?その世界をZoomはどのようにサポートしていきますか?

リモートで効率化できる仕事はどんどんリモートで行い、余った時間を対面での大切なプレミアムコミュニケーションに使うということだと思います。効率化と深掘りの二面ですね。いずれかということではなく、リモートワークをすることでプレミアムコミュニケーションの時間も増える夢のある世界で、今までの倍コミュニケーションができます。

また、実際の対面のコミュニケーションをバーチャルが補完するということもあり得ます。対面していても、Zoomで同時通訳の機能を使うことができたり、話している内容をZoomの機能で自動的に議事録にしたりといったことですね。それから、リアルなセミナーやミーティングを行いながら、同時に地方や自宅からの参加者はオンラインで参加するといった場合にも、Zoomを使って補完することができます。

例えば、私は以前の職場で札幌に赴任していまして、それまで東京のオフィスでミーティングに出ていたところを、札幌からリモートで参加すると、話が通じない、意見が通りづらいということを経験しました。しかし、そういったことは過去のものになるのではないかと思います。テクノロジーによって場所の格差が縮まり、中央ではなく地方にいても大事な仕事ができるという、そういう時代になっています。

Q7. それでは最後に、2021年の展望を教えてください。

今、在宅勤務を増やした会社でも、完全に在宅勤務だけとするのではなく、徐々にオフィスに戻り始めていますよね。そうすると、これからも在宅勤務をはじめとするリモートワークを続けながら、会社の会議室も活用するという、この二つが共存する環境が重要になってきます。そこで、Zoom Roomsなどの会議室用ソリューションの提案を強化して行きます。

次に、製品面で言いますと、先日Zoomの年次ユーザーカンファレンス「Zoomtopia」でもお話ししましたが、クラウドPBX事業へ参入し、国内の通信キャリア会社とアライアンスを組んで「Zoom Phone」を2021年に展開します。

また、市場に関しては、政府や銀行、地方公共団体など、今まで個別にセキュリティを含めてご提案し、お話をしていた分野において、業界標準を取得しながら、さらにご利用いただけるように提案して行きます。日本においては、販売パートナー経由でのビジネスが70%以上となっていますが、さらにこのパートナービジネスを拡大しようと考えています。現在の顧客企業においても、部門導入のみをしていただいている場合もありますので、そういったお客様には全社で導入していただけるようにご提案して行きます。

さらに、これは2021年だけの目標ではありませんが、やはりオフィスだけではなく現場でもZoomを活用していただき、リモート環境に「取り残される人がいない」世界にすることも私の一つの大きな目標です。

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