Zoom 主催ウェビナー「Zoom 活用スタンダード化のその先へ ウェブ会議アプリからコミュニケーションプラットフォームへと進化を遂げた Zoom の現在と未来」レポート

Zoom 連携アプリ(Zoom Apps)の本格的な提供開始を機に、「Zoom 活用スタンダード化のその先へ ウェブ会議アプリからコミュニケーションプラットフォームへと進化を遂げた Zoom の現在と未来」というテーマのもと、ウェビナーを開催しました。本ブログでは、同ウェビナーの三つのセッション内容をご紹介します。
セッション 1. Zoom のプラットフォームストーリーについて
ZVC Japan株式会社 技術営業部 部長 八木沼剛一郎
Zoom は、2011 年の設立後、Zoom Meetings の販売活動を続けてきました。昨年来続く、未曾有のパンデミックをきっかけに、さらに多くの方に信頼を持ってソリューションをお使いいただいています。まず、Zoom の信頼性を支えるファウンデーションについてご説明します。
セキュリティ
Zoom では全社で共通して、セキュリティが最も重要であるという認識を持っており、セキュリティ強度を向上させる活動を継続的に実施しています。お客様のミーティングを守る機能の実装以外にも、例えばデータセンターにおけるセキュリティを向上させるための取り組みや、様々な業界の認定資格の取得など、セキュリティ面での土台を固めています。
クラウドネイティブ
弊社のサービスは、クラウドでの利用および、ビデオ利用を前提に開発されています。爆発的な利用の増加にも耐えうるスケーラビリティを維持しながら、全世界 22 箇所のデータセンターから皆様にサービスをご提供しています。
集約された管理
一つのポータルから、リアルタイムにサービスの稼働状況やミーティングの品質を可視化できるレポートやダッシュボードを用意し、少数から大人数でご利用のお客様のサービス管理を容易にしています。
柔軟なコミュニケーション
Windows や Mac などの PC だけでなく、モバイル機器や VDI (仮想デスクトップ)、ウェブによるミーティング参加もサポートしています。ご利用環境によって生産性が損なわれることないように、機能の均一化を目指して開発をしています。他社製の会議端末をお持ちのお客様もスムーズに参加できるようなサービスも提供。オンライン会議開催の敷居を限りなく小さくするような土台作りに取り組んでいます。
Zoom の目指す世界 キラーアプリケーションからキラープラットフォームへ
このようなファウンデーションをもとに、今後、Zoom は、ミーティングの領域だけではなく、円滑なコミュニケーションを提供するプラットフォームベンダーとして、より皆様へのサポートを推進していきたいと考えています。具体的には、先ほどのファウンデーションを基本とした下記の三つの領域に注力していきます。

1. カンファレンスルーム・スペース
カンファレンスルームスペース領域において、現在は、Zoom Rooms や、 カンファレンスルームコネクター(CRC)、デジタル サイネージ、スケジュール表示ディスプレイについて、ハードウェアベンダーと連携しながらソリューションを提供しています。最近は新型コロナウイルスに対するワクチン接種率も徐々に高まっており、「Return to office」に向けた計画を様々な企業が進めていますが Zoom は、受付の業務を仮想化する「バーチャル受付」、場所を問わず会議参加を促進する「スマートギャラリー」といった機能をハードウェアベンダーと協力しながら提供し、「Return to office」にも役立つように、進化を続けています。
2. コミュニケーションプラットフォーム
先日、Zoom のアプリケーションから通話可能なサービス「Zoom Phone」の展開を日本国内でも開始しました。すでに多くのお客様にご利用いただいており、数あるクラウド PBX 製品の中で、世界での利用者の 100 万人到達にかかった時間が最も短いサービスとなっています。7 月下旬にリリースした、「Zoom Events」は、複数の異なる時間に同時進行的にセッションを行うような仮想展示会を実現するサービスで、課金型のセッションも実施可能です。このようなサービスの拡充により、ミーティング以上の利用価値を提供していきます。
3. デベロップメント
業務におけるコミュニケーションの質を更に向上させるために、Zoom Developer Platform を提供しています。Meeting SDK、 Video SDK、 Rest API、 Webhooks といった開発者向けツールを利用し、普段ご利用になられているアプリケーションを Zoom Market Place に登録する事が出来ます。こういったアプリケーションは先ごろリリースしたZoom 連携アプリ(Zoom Apps) と同じように、Zoom から各アプリケーションを呼び出すという連携ができますし、Eコマースのアプリやチャットアプリの中に Zoom のテクノロジーを取り込んで利用することもできます。
このように、Zoom は、ミーティングプロバイダーから、コミュニケーションプラットフォームを提供するベンダーとして、更なる進化を遂げていきます。
セッション2. 「Zoomのプラットフォーム機能と活用事例の紹介」
ZVC Japan株式会社 ISVビジネスディベロップメントマネージャー 佐野健
Zoomプラットフォームの API や SDK は、お客様やパートナー様のアプリケーションやシステムが Zoom の機能にアクセスできるようにするものです。具体的には、API を通じて Zoom の様々な操作を行うことができる「Zoom API」、通知を受け取る「Zoom Webhook」、Zoom クライアントを Web サイトやアプリに組み込み可能な「Zoom Client SDKs」、自由にカスタマイズ可能なビデオベースのアプリを開発できる「Video SDK」の 4 つの機能があります。すでに有償ライセンスをお持ちのお客様は、API や SDK の利用に際し、自社内の利用に限り追加の費用は必要ありません(Video SDK は除く)。主要な機能の活用事例について、ご説明します。
Zoom Client SDK
Zoom クライアントを、様々なプラットフォームに埋め込むための SDK となります。例えば、マンツーマン英会話を展開する株式会社 GABA 様では、このSDK を利用して、オンライン受講システムを提供しています。GABA様の受講生は、ウェブサイトで英会話レッスンの予約の上、さらにオンラインレッスンを希望場合は、GABA様の Web システムの中で受講できます。このため、GABA様のウェブサイトの中から離れることなく、予約もレッスン受講も Web SDK で実現しています。すでに全レッスンの 30% が、この SDK を使ったオンライン受講システムで提供されています。
Zoom ISV プログラム
サードパーティーの利用を想定した 利用形態で、契約企業のユーザーがミーティングやウェビナーに 入ることなく、貸し会議室のような形で Zoom の利用が可能です。通常のライセンスとは異なり、利用料に応じた柔軟な料金体系となっています。SDK の利用でアプリや Web サイトに組み込むことができ、先ほどの GABA 様の事例もこれにあたります。そのほかにも、例えば、オンラインカウンセリングのサービスを提供する株式会社 cotree 様では、Zoom のISVプログラムの利用で、カウンセラーや利用者が、Zoom のライセンスについて意識 することなく、1 on 1 でオンラインカウンセリングを受けることができます。オンラインのスポットコンサルティングを提供する株式会社ビザスク様では、依頼者である企業と個人をマッチングし、安心安全なウェブ会議の場を Zoom の ISV プログラムを通じて提供しています。Zoom ISV プログラムについては 8 月 26 日(木)に詳細を解説するオンラインパネルディスカッションが開催されます。参加方法などは文末にてご確認ください。
Zoom App Marketplace と Zoom 連携アプリ(Zoom Apps)Zoom App Marketplace は、Zoom と様々なアプリケーションが連携するためのプラットフォームで、すでに1500以上のアプリが登録されています。日本のアプリも多数公開済みで、その中から、Zoom と連携してミーティングのリアルタイムの議事録作成と英訳の表示が可能な「AI GIJIROKU(AI 議事録)」のデモを本セミナーではご紹介しました。詳しくは文末より、動画をご覧ください。

Zoom App Marketplace へのアプリの登録手順は、アプリ作成後に、アプリのドキュメントの整備、アプリ審査用の環境を構築し、セキュリティ要件への対応を行えばすぐに登録が可能です。下記 URL より登録が可能です。
https://marketplace.zoom.us/docs/guides/publishing/app-submission
Zoom 連携アプリ(Zoom Apps): 新しい連携の形
Zoom App Marketplace を拡張する機能で、Zoom のアプリから様々な機能が呼び出せるような形になります。すでに、Asana、Dropbox, Miro など 50 種類以上のアプリが利用可能です。コロナ禍でミーティング疲れの方も多いと思いますが、生産性向上を目的としたアプリ以外に、アイスブレイクのためのゲームなどのアプリも登録されています。

セッション3.「PLAIDで活用しているZoomインテグレーションの事例」
株式会社プレイド Corporate IT Team 梶原成親様
PLAIDでどのようにZoomを活用しているか?
株式会社プレイドは、2011 年に設立した従業員 200 名弱のスタートアップで、CX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE」をはじめとした SaaS モデルのサービスを展開しています。私が所属する IT チームのミッションは、事業・プロダクトのアクセラレーターとして、「メンバーが圧倒的なパフォーマンスを出せる環境を作り出す」こと、「プロセスをハックして自動化を推進する」こととなっています。
新型コロナパンデミックにより、昨年 4 月より弊社でもリモートワークが中心になりました。これは、不可逆な変更になると考えており、今後もリモートワークを主体なるものと考えて、Zoom を活用しています。大きな変化としてはまず、商談がウェブ会議中心になりました。これにより、訪問に必要な時間が不要となり、商談の件数が昨年比 1.5 倍に増加しました。

「リモートワークを前提に」と変化しつつある時、対面による情報の深さや多さは認めた上で、リモートワークでどのように上手くコミュニケーションを取るかが鍵となります。新しい生活様式に合わせる必要があり、コミュニケーションの仕方が変化します。このため、一緒に働くメンバー間で、事前にコミュニケーションの取り方を合意しておくと良いと思います。
では実際に、何を合意しておくと良いか?一つには、オフラインにおける「ちょっと良いですか?」を、どのように作るかを決めておくイメージです。例えば、あるチームでは、10 分詰まったら Zoom ミーティングを開く、別のチームでは「 1 日に一回進捗確認のミーティングを決めておく」など、事前にルールを決めておくことで、お願いする際の心理的なハードルが下がるので、コミュニケーションがよりスムーズに行われています。チームの働き方も、各チームで主体的に決めるようにしています。「Daily Huddle を毎日行う」、「雑談も含めて常に音声通話ができるようにしている」、「テキストチャットを中心にコミュニケーションを行う」など、各チームで異なっており、チームごとに最も実行しやすい方法を採用しています。
PLAID での Zoom ライセンス付与の考え方
Zoom がリモートワークの中心となり、一年で約 10 倍ライセンス数が増えています。最初は、2020 年 8 月頃、Business 職は基本的に付与すると決定しました。それまでは、別のウェブ会議を使用していましたが、音声品質の良さと通信負荷の低さ、資料共有も簡便さから Zoom に統一しました。ライセンスの付与は、「継続的に 40 分以上のミーティングをホストすることがある人」を条件としています。例えば、「リーダー職以上に付与」といった場合もあるかもしれませんが、弊社の場合、「メンバーが圧倒的にパフォーマンスを出せること」をベースとしての価値観を設定していますので、決定はスムーズでした。また、最も高いコストは「人件費」であり、コスト面を考えても、ウェブ会議によって多くの時間が短縮されているため、Zoom のライセンスを安く感じています。ライセンス付与の手順も、Okta のワークフローと Zoom の API を組み合わせてくみわせて自動化し、ボタンひとつで簡単にできるようにしています。

PLAID での Zoom インテグレーションの活用例
弊社では、様々なアプリを Zoom とインテグレーションしています。いくつかの例をここでご紹介します。
Google カレンダーとのインテグレーション:Google カレンダーで予定作成時に、Zoom でミーティングが自動的に作成されるようにしています。
Slack とのインテグレーション:テキストのコミュニケーションの限界が訪れた時、10 分以上会話が続くようだったら Zoom に移動します。会話をしながら、Slack に議事録を残すようにしています。
Workplace by facebook とのインテグレーション:全社会議や勉強会などは、Zoom で録画しながら、Workplace by facebook に直接ライブ配信しています。これにより、Zoom の録画データをダウンロードして展開しなくても、Workplace に履歴が自動で残ります。また、全社会議に参加できない場合、議事録でしか確認できなかったものが、アーカイブで追いつくことができるようになりました。
Dr. Works とのインテグレーション: Dr. Works は、ウェブ会議に特化した日程調整・営業支援ツールです。お客様が、製品サイトのオンライン商談をクリックすると、お客様の都合の良い時間に、自動的にプレイド側の営業担当者がアサインされ、Google カレンダーに予定とZoomミーティングが自動で作成されるようになっています。このため、オンライン商談を設定するために必要な時間が0となりました。
その他にも、Gmail や Google Drive などのインテグレーションを行なっています。
まとめ
コロナによって起きた変革は不可逆で、「Return to Office」となっても、リモートが併用されることが想定されます。このため、新しい生活様式に合わせたコミュニケーションツールの活用が必要です。このように働き方が変化する際には、ワーキングアグリーメントに合意しておくとパフォーマンスが落ちずにスムーズになります。また、Zoom 単体でも便利ではありますが、よく利用する SaaS と連携すると、ほぼワンクリックまたはツークリックで利用可能で、更に便利になります。
Q&A セッション(一部抜粋)
Q. プレイドで、IT ツール選定の際に大事にしているポイントはありますか?
A. アカウントが一元管理できるようにシングルサインオンへの対応していること、問題のない行動をしているかチェックできるように監査ログに対応していること、そして、インテグレーションの豊富さと API が公開されているかどうかといった点も重要です。SaaS を前提にする際のコツとしては、会社に来て、会社のネットワークなら安全という世界は終わってしまったので、家からでも喫茶店の WIFI からでも安全に使える SaaS を選ぶようにはしています。
Q. 様々なアプリと連携されていますが、連携されているアプリは、コロナ前から使用されていたものが多いのでしょうか?
A. はい。多いです。コロナになってから一番使っているのは、Zoom だといえます。
関連リンク
Zoom の ISV について詳しく知りたい方は、パートナー プログラムのページをご覧いただき、お問い合わせください。https://zoom.us/ja/platform/isv.html
関連告知
オンラインパネルディスカッション
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【開催日時】2021 年 8 月 26 日(木) 18:00〜19:00
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