Zoomtopia Japan 2022 「Explore New Dimensions:新しいコミュニケーションの世界へ」レポート 2

「学習サービスと社内コミュニケーション、両輪で並走する運営改革」
ZVC JAPAN ゼネラルビジネス第一営業部 部長 佐藤 仁是
株式会社 秀英予備校 IT システム課 上級スペシャリスト 清水 志帆様
(佐藤)コロナ禍で運営に大きな改革が求められた業界の一つが教育界です。特に予備校は授業そのものの提供はもちろん、講師、社員の社内コミュニケーションという2つの対策を講じる必要がありました。秀英予備校様が Zoom のソリューションをどのような経緯で導入し、またどのように活用しているのか伺いました。
(清水) 株式会社 秀英予備校は静岡県静岡市に本社を置く学習塾・予備校で、約 250 の校舎に 700 名の講師がおり、約 28,000 名の生徒が通っています。
・オンライン授業に Zoom ミーティング導入
2020年に講師からの強い要望を受けて Zoom ミーティングを導入し、対面授業ができないという危機的状況の中、オンラインで授業を実現することができました。多人数が参加しても高い通話品質を維持できる安定性と、子供でも操作できる使い易さは教育サービスに最適です。
現場からは素晴らしいアイディアがたくさん生まれ、例えば、 iPad を黒板代わりにした双方向のオンライン授業が始まっています。Zoom と iPad さえあれば、数百名の生徒へ一斉に授業ができ、挙手やチャットの機能を活用することで、リアルタイムで双方向な授業を実現できます。保護者会もオンラインで開催していますが、オンラインに切り替えたことで参加者が増えました。また「オンライン自習室」が生まれ、今では主要なサービスになっています。どうしたら自習室に来て学習習慣をつけてもらえるか講師は思案してきましたが、Zoom で「オンライン自習室」につなげば自宅が自習室になり、同じ空間で仲間たちと勉強ができるという思いがけない機会をオンラインが提供してくれました。
・社内コミュニケーションに Zoom Rooms
全国9都道府県に直営校があり、ビデオ コミュニケーションは必要不可欠なツールです。今年既存のテレビ会議システムの契約が満了した際、オンライン授業が成功している流れの中、社内コミュニケーションのツールとして Zoom Rooms が選定されました。
初期導入コスト・運用コストともに、既存システムの半分以下で実現でき、Zoom Rooms と専用端末の DTEN シリーズの初期設定も驚くほど簡単でした。カメラ、スピーカー、モニターが一体で配線もすっきりしており、電源さえ入れれば見慣れた Zoom の画面が立ち上がるという使い勝手の良さに加え、固定 IP アドレスを振らなくともブラウザからカンタンに設定ができるなど快適な仕様となっています。
・ Zoom Phone 導入のメリット
通話の安定性や品質、機能面は申し分なく、Zoom ミーティング 同様に様々な端末で電話が使える柔軟性が素晴らしいです。
今年 9 月台風 15 号で静岡市清水区の校舎が床上浸水し電気とネットワーク設備も被害を受け、全ての電気系統が復旧するまでに 12 日かかってしまいました。復旧作業が進まない中、電話は iPad と Zoom Phone を使いすぐに仮復旧することができました。Zoom Phone で校舎と設備の復旧方法を相談する際にも、Zoom ミーティングにシームレスに切り替え、映像を確認しながら会話でき助かりました。

「埼玉県庁 1 万 2000 人のコミュニケーション革命」
ZVC JAPAN 公共・文教営業部 アカウントエグゼクティブ 相原 健一
埼玉県企画財政部 行政・デジタル改革課 デジタル政策幹 石川 貴規様
(相原)全国 5 位の人口を誇る埼玉県。埼玉県庁職員 1 万 2000 人のコミュニケーション革命はいかにして実現したのか、現場のお話を伺いました。
・Zoom 導入のきっかけ
導入の直接のきっかけは、2021 年 3 月末までに官民データ活用推進基本法に定められている都道府県の基本計画を定めるよう国に求められたことです。検討していく中、県知事から「デジタル化はもっと幅広く推進していくべき」という強い指示があり、本格的な DX に取り組む機運が高まりました。そこで県庁の全部署からなるプロジェクトチームが結成され、そのチームが県知事のデジタル化にかける熱い思いを職員に伝えながら推進していきました。
・Zoom の選択について
全庁における Zoom 導入の正式なスタートは 昨年 11 月ですが、事前に一部の部署で試用期間がありました。その際通信の質や使い勝手において Zoom が一番良いという感触があり、採用を決定しました。
また既存の環境に導入する際、職員の負担にならないよう、既存の認証サーバーに登録されたアカウント情報などを連携させシングルサインオンで使えるようにしました。
・導入後の工夫とメリット
日常業務における職員同士のコミュニケーションに利用してもらえるよう「いかに簡単に使えるか」をアピールしました。研修などで丁寧に説明するように努め、職員がアクセスする内部のポータルサイトに Zoom 利用のコツや機能のアップデートを地道に告知しました。
また、職員は庁内の連絡に内線電話を使ったり他の部署に直接足を運ぶなどできますが、コロナ禍の在宅勤務ですっかり状況が変わってしまいました。内線電話の代わりにチャットを使う「チャット ファースト」を推奨したところ、コミュニケーション不足を回避することができました。
今では知事室に Zoom Rooms が設置され、知事が直接オンラインで職員に連絡をとっています。
「まごチャンネル が Zoom の SDK で実現したテレビ電話の世界」
ZVC JAPAN ISV ビジネスデベロップメントマネージャー 佐野 健
株式会社 チカク 代表取締役 梶原 健司様
(佐野)まず Zoom Developer Platform をご紹介します。
Zoom では高品質なビデオおよびオーディオのコミュニケーションを他のアプリやウェブサービスからもご利用いただけるよう API や SDK を提供しています。その他プラットフォームとして自社サービスの中に組み込むための ISV パートナープログラムもご用意しています。こちらはすでにグローバルで数百社にご参加いただいていますが、日本でもこの 1 年で非常に多くのお客様にご参加いただいております。
まごチャンネル様では Zoom Developer Platform、具体的には Zoom Meeting SDK を用いてテレビ電話機能を開発、全国の介護施設などで実証実験を行っています。
(梶原) 株式会社 チカクはチカクというカタカナ3文字で書く会社で、距離も時間も超えて大切な人を近くしよう、またダブル ミーニングで知る、覚える、隣にいるかのように知覚できる世界を作ろうと創業しました。
・サービスについて
離れて暮らすおじいちゃんやおばあちゃんに、お孫さんの日常が映る専用の TV チャンネルがあるかのように、アプリで撮っていただいた写真や動画をクラウドを通してお届けしています。それらの写真や動画は、専用端末で受信し TV リモコンで操作しながら TV 画面で見ることができます。日本は世界で最も高齢化が進んでおり自立して暮らしていらっしゃる方が 1500 万人いますが、その方々への Wi-Fi 普及率は 2 割を切っています。弊社の端末には SIM が入っているので、そのようなネット環境が整っていない地域でもただ専用端末を電源と TV にさえつなげば自動でコンテンツを受信できるのです。現在 60 代から最高 100 歳の方々にご利用いただいています。
・テレビ電話機能追加について
弊社ではシニア ファースト、つまりシニアな人こそ使えるサービスを創意工夫し提供しています。「臨場感がありまるで孫と一緒に暮らしてるよう」というお声をいただく一方で、「見るだけじゃなくて双方向でコミュニケーションしたい」「顔を見ながらリアルタイムで話がしたい」というご要望もありました。対策を模索している中 Zoom のサービスに出会い、まさに今ローンチすべく動いています。
実は 10 サービスほど検討したのですが、 Wi-Fi が前提となっているものが大半でした。地方の通信環境が良くない地域で、大きな TV 画面 に、高画質高音質なテレビ電話機能を提供するとなると Zoom 一択でした。
その後既存のユーザー様と実証実験している際テレビ番組に取り上げられる機会があり、全国の介護施設などからコロナ禍で面会ができない、スマホを使いこなしてオンライン面会もできず困っていると連絡をいただきました。実際多くのサービスはスマートフォンや PC をツールとして想定しており、慣れないご高齢者には使いづらいのが現状だと思います。そのような状況の中 SDK でビデオ コミュニケーションをお届けできるのは素晴らしいことです。
・今後の展開について
すでに数々の実証実験を積んでおり、可能な限り早急にサービスを提供できるよう取り組んでいます。まずご家族をつなぐことから始めますが、ご高齢者を支援する方々、例えば医療・介護関係者や自治体などご家族以外の方々にもご利用いただきたいと考えています。Zoom アカウントさえあれば誰でも利用できるようになれば理想的です。

「創業 125 年 次の 100 年を支える DX への挑戦」
ZVC JAPAN 社長 佐賀文宣
井村屋グループ株式会社 IT 戦略室 岡田 孝平様
(岡田)井村屋グループは今年で創業 125 年、会社設立 75 周年を迎えます。1896 年、三重県の松阪で菓子製造を始め、あずきバーや肉まんあんまん、あずきを中心としたさまざまな商品の製造販売を行い、2021 年には酒造事業もスタート、様々なものづくりに挑戦しています。昨年は念願のあずきバーシリーズ年間売上 3 億本を達成しました。
・Zoom 導入のきっかけ
歴史が長いと改革に勇気が必要という側面もありますが、弊社では早い段階でデジタル化に関して経営トップの理解が得られました。導入のきっかけは実はコロナ以前で、北海道営業所や東北支店など遠方のお客様との商談がスムーズになるのではないかと考え Zoom Meeting の社内提案を行い、採用しました。またその他のツールの導入に関して、実はミーティング、チャット、電話などそれぞれ別のツールを利用していたのですが、社内の DX を推進していく上で一つのプラットフォームに統合、集約することで得られるメリットが大きいと判断し、Zoom をプラットフォーム( Zoom Meeting、Zoom Team Chat、Zoom Rooms、Zoom Phone )として採用することにいたしました。特に海外とのやりとりではアプリの使い分けが大変でしたが Zoom には制約がなくどの国とも Zoom プラットフォームで統一できるという点も非常に魅力的です。
・導入後のメリット
Zoom ミーティングは国内の遠方のお客様はもちろん、海外拠点との連携でとても大きな役割を担っています。アメリカ、中国、マレーシアなどとのやりとりが多いのですが、メールだけでは難しかった細かなニュアンスまで迅速に伝わり、商談が進めやすくなりました。
また社内で固定電話をなくし、場所にとらわれないコミュニケーションを目指しました。社外からの電話は PBX 経由の固定電話のみでしか受けられず、必ず誰かが電話を受け担当者へ転送しなければなりませんでしたが、統合することで個々のデバイスで発着信でき、チャットも Web 会議も必要に応じて即座に切り替える事ができます。こういった環境が整うことで新たな働き方が可能になり、本支店間や海外拠点までもが内線化することで現場の声が直接、即座に届くようになったのは大きな進歩です。
・SDGs 達成へ相乗効果
井村屋では経営ビジョンに 「Be always for Customers !」 をかかげています。食を扱う企業としてお客様に安心安全で楽しい商品・サービスを提供することはもちろん、社内業務におけるペーパーレス、食品ロスゼロ活動といった SDGs においても尽力しています。その点でも企業の DX への取り組みは大切だと考えています。
Closing
Zoomtopia Japan 2022 はお楽しみいただけましたでしょうか。
このイベントをきっかけに、DX、ハイブリッドワーク、Zoom ソリューションへの関心をより高めていただけましたら幸いです。
レポート 1 はこちらからご覧いただけます。