Zoomtopia Japan Session ハイライト Vol. 4

Zoomtopia Japan Session ハイライト Vol. 4

セッション6: ニューノーマル時代に、「企業」と「個人」はどう変わるべきか?

 (日本航空株式会社 執行役員IT企画本部長 岡敏樹様、Zoom Video Communications日本法人代表 佐賀文宣)

新型コロナウイルスと共存せざるを得ないニューノーマル時代(新常態)において、生きるためには企業も個人も変化していかなくてはなりません。当セッションでは、これからの企業はどう変わっていくべきなのか、その変化に合わせ、個人はどう変わるべきなのかを、日本航空株式会社 執行役員 IT企画本部長 岡 敏樹様と共に深掘りしました。

(Zoom Video Communications日本法人代表 佐賀文宣、以下 Zoom 佐賀)

岡さん、本日はご登壇いただきましてありがとうございます。よろしくお願いします。まず、最初に、新型コロナウィルスを受けた、職場での働き方・コミュニケーションの変化についてお伺いできればと思います。

(日本航空株式会社 執行役員IT企画本部長 岡敏樹様、以下 JAL 岡氏)

はい。まず、新型コロナウィルスをうけて、Zoom会議の開催数は、当社の場合7倍となりました。Zoom全体では30倍になったとうかがっていますので、たった7倍と思われるかもしれませんが、当社は2年前にZoomを全社導入しており、相当使用頻度は高かったため、このような数字になっています。しかしながら、使われ方は大きく変わりました。大きく二つの変化がありました。これまでは、「今日の会議は、遠方からの参加者がいる」という時にZoomを使用していましたが、今はほぼ全ての会議でZoomを使用しています。その結果、一つ目の変化として、国内の地方や、海外にいる社員であっても、どの会議でも参加できますので、会議主催者は、出席者の担当業務は考慮しますが、出席者の居場所を意識することはなくなりました。例えばある時は、リアル出席していると思っていた役員に質問したら、実は沖縄にいたというようなこともありました。

二つ目は、思いがけず会議を効率化できたことです。今は、三密を避けるために、役員も一般社員に関しても、会議に参集する人数は限定され、それ以外の出席者はZoom参加で運用しています。それにより、当日の議題に深く関与する社員はリアル出席をし、話題に応じて関わる社員はZoom出席をしますので、結果として役員会議も通常の会議も、議論が効率化し、主要論点を集中的に議論できるようになりました。

(Zoom 佐賀)

岡さんの周辺はオフィスワーカーの方々だと思うのですが、JAL全体ではどのような変化が起こったかを教えていただけますか?

(JAL 岡氏) はい。オフィスでのデスクワークを主とする社員だけではなく、エアラインの現場を担っている社員が、Zoomをあっという間に取り入れて縦横無尽に活用しているという状況があります。下記の写真にもございます通り、客室乗務員の訓練の様子をご紹介します。客室乗務員は、訓練所のモックアップと呼ばれる模擬の機内施設で、実際にステーキやワインを用意し、お客様へのお食事サービスの実技訓練を行っています。しかし、三密防止のために、モックアップに集合できなくなりました。そこで、客室乗務員たちが必死に考え抜いた結果、Zoomを使って、リモートで実技訓練を行うことを考案して実施しました。我々デスクワーカーは、そのようなことをできると思ってもいませんでした。

他の職種でも同様に、Zoomを使って様々な業務を行なっています。コロナによって、多くの飛行機を運休させざるをえないという状況に陥っています。そのような中で、彼ら彼女らは、現在仕事がない、または仕事を大きく変えざるをえないという大変な苦境に立たされております。しかしながら、それらの社員達は、飛行機が飛ばないうちに、自分たちの力を錆びさせず、お客様が戻ってきてくださった時に、またより良いサービスを提供できるようにと考え、日々意見交換、訓練、教育を行なっています。彼ら彼女らは、試行錯誤の上で、Zoomを見つけ、その威力に気付き、あっという間に勉強に取り入れています。現場で働く社員は極めて真剣ですので、Zoomのスキルは、私などよりもたちまち高くなり、最近、IT企画本部で現場社員向けにZoom教育を実施した際に、アンケートには「こんな簡単なことは知っている。もっと高度なことを教えて欲しい」と文句が殺到したぐらいです。

世間では、Zoomの活用というと、デスクワークやテレワークが中心になってきますが、私はZoomの本当の力はそんなもんじゃないと思っています。デスクワークだけではなく、現場の社員たちがZoomを活用していけば、爆発的な力を発揮するのではないかと思います。

(Zoom 佐賀)

全社一丸で困難に立ち向かう姿勢が大変勉強になります。次に、「新型コロナウィルスは、本質的に私たちに何を変化させたのか?」というご質問になりますが、いかがでしょうか?


(JAL 岡氏)

私が感じる変化は、コロナによって、世界中のすべての人たちが、クラウド上でバーチャル空間の住人になったということです。それ以前は、インターネットを使っても、ホームページを見たりメールを使ったり、LINEを使ったりするだけ、という人も少なくなかったと思っています。しかし、コロナによって、物理的な移動ができなくなったため、世界中の企業、公的機関、学校、スポーツ・文化団体、親睦団体などが、一斉にその活動をバーチャル空間に移動することになりました。それらによって、およそなんらかの社会活動を営んでいる人々は、必然的にバーチャル空間に加入しなければならなくなったのだと思います。

重要なのは、コロナが終息した後に元に戻るのか?ということですが、私は終息後も、リアル空間とバーチャル空間が並存し続けると考えます。なぜなら、当社の航空機の運航についても、以前からリアルとバーチャルが並存しているからです。具体的には、航空機はリアルで、出発空港から到着空港まで飛行しますが、その裏側では、バーチャルな飛行、すなわちリアルな飛行をコンピュータ上で常時モニターし、航空機との間で交信を継続することで、安全かつ快適な飛行を実現しているのです。機長に相当する航空運航管理者という国家資格者が、飛行計画を作り、飛行機の運航支援をするということは法律で義務付けられています。実際、彼ら彼女らは、陸のパイロットと呼ばれています。まさにバーチャルパイロットです。このバーチャル空間が存在して、リアルな飛行に対して様々な情報を提供、または地上でシミュレーションし、一番良い解を機上のパイロットに提供することにより、安全性及び快適性が確保できます。

おそらく世界中の人々は同じように、コロナによって図らずも生まれたバーチャル空間が、リアルな世界をより良いものにする力を持っていることに気づいたのではないかと思っています。したがって、コロナの後もバーチャル空間は存在し続け、リアルな世界をより良いものにするために成長・発展していく、それがコロナの後の一番大きな変化ではないでしょうか。

(Zoom 佐賀)

この飛行機のバックアップの体制、リアルをバーチャルでバックアップするということは、いろいろな業務に応用できそうですよね。いまおっしゃっていた、「コロナの終息後に世の中はリアルの世界に戻るのか?」という点について、もう少し詳しく教えていただけますか?


(JAL 岡氏)

はい。私は、リアルとバーチャルは二者択一ではないと考えます。どちらが優れていて、どちらが劣っているというようなものではありません。まず、私が航空会社の人間だから言うわけではありませんが、リアルの世界には、バーチャルでは実現できない価値があるということは間違いないと思います。人々が同じ場所に集うことで生まれる価値や満足感は、確かに存在します。一方で、バーチャルでないと実現できない価値があるということにも、コロナで改めて気付きました。例えば、当社の安全担当役員は、現場を回って、その現場の社員と話を交わしていく、これによって安全を高めているわけです。しかし、現実問題として、国内海外に多数ある拠点を毎年回ることはできず、これまでは、小規模拠点は数年に一度しか回ることができませんでした。そうすると、すでに人が異動で変わっていたりして、なかなか信頼関係が築けないという課題がありました。しかし、コロナによって、必然的に物理巡回からZoom巡回に変化しました。結果として、いつでも遠方の人とも話すことができ、全ての現地のスタッフと人間関係を築くことができるようになりました。これはバーチャルでないと生まれなかったと思っております。企業にも家庭にも、なんらかの事情で特定の施設から出られない方というのはたくさんいらっしゃると思います。そういった方々がバーチャルでコミュニケーションできるようになったことも新たな価値と言えると思います。

(Zoom 佐賀)

バーチャルの世界が生まれたことによって、今後リアルの世界は相対的に縮小するのでしょうか?

(JAL 岡氏)

この点は、当社に関してもよく言われるのが、コロナによって移動しないでも仕事ができることがわかり、それによって、今後出張需要が減るのではないかということです。ここ数年という短期で見れば、航空需要の戻りは厳しいと見ております。まず、コロナの影響が世界的に終息するまでに時間がかかると思いますし、リモートで十分業務を行うことができるために出張をやめるというケースも出てくると思います。

しかし、個人的には、長期的にみれば、バーチャルの世界が生まれたことによって、リアルの移動需要が逆に増えると考えています。例えば、私も、商談が全てバーチャル空間上に移りました。それにより従来、東京にいる限られた人数の方にしかお会いしていなかったところが、これまでであればお会いしていなかった人にもお会いできるようになったからです。「Zoomであれば私も、聞かせてください」、「工場担当者や、海外の開発者などを参加させてください」など、これまでになかった商談が生まれています。これらの方々の一部とは、今後もビジネスの関係を深めていくと思いますので、その過程で今後リアルにお会いすることもあるでしょう。同じことが企業だけなく、世界中の人々の間で起こり、従来にはなかった対面需要、移動需要が生まれると予想しています。

(Zoom 佐賀)

テーマとして最後になりますが、今後Zoomに期待することがあれば教えてください。

(JAL 岡氏)

今回のコロナによって、Zoomはリアルの世界を代替するだけの存在ではなく、リアルの世界の魅力を高める存在でもあるということを、改めて認識しました。いわゆる動画リアルタイム通信のサービスの中で、Zoomが世界の中で最も高く評価され、最も多く使われていることは客観的に見て間違いないでしょう。日本でもZoom飲み会という新語がそれを象徴しています。なぜZoomが高く評価されているのか。シンプルに、「通信品質の高さ」と「ユーザビリティ」の二つが、Zoomが支持される理由だと思います。引き続き、Zoomには、この二つをより高めて欲しい。それによって必ず、世界はコロナ前よりもっと魅力的なものになると確信しています。

(Zoom 佐賀)

ありがとうございます。いくつか、セミナーに参加する皆さんから質問を頂いているのですが、お答えいただけますか?まず、「Zoomのセキュリティについての評判はどうですか?」という質問です。

(JAL 岡氏)

弊社としては、Zoomは、正しい使い方をすれば、安全に利用できるサービスであると認識しています。2年前にZoomを正式導入した際に、大きく三つの社内ルールをもうけました。一つは、「参加者はカメラをオンにすること」、それによって、主催者が参加者の顔を見て本人確認を行ないます。次に「ファイルを、Zoom経由では送付しないこと」。最後に、「ミーティングIDを社外に漏らすことは禁止。重要な会議にはパスワードをかけること」です。これらを遵守することにより、当社ではZoomによるセキュリティ事故は発生していません。

(Zoom 佐賀)

続いて、「Zoom導入に際し、他社を検討しましたか?」、「ビデオ会議の他にどんなアプリケーションを使用していますか?」という質問です。

(JAL 岡氏)

はい。導入前に、様々な製品を比較検討し、試験導入したものもございます。しかし、通信品質が良くない、通信品質が良いが特定の会議室でしか使えないなど、欠点があり、全面採用にいたりませんでした。そこで、初めて全面採用したのがZoomです。

他のアプリケーションに関しては、Unified Communicationツールとして、Microsoft 365を使用しているため、その中のTeamsのビデオ通話機能も正式にサポートしています。

(Zoom 佐賀)

続いて、「リモートワーク環境をどのように整えましたか?Zoom以外には、何を整えましたか?」という質問です。

(JAL 岡氏)

通信環境に関して申し上げると、コロナの前の段階で、デスクワークを行う社員にはスマートフォン、現場で働く社員にはセルラーつきiPadを配布済みでしたので、最低限の通信手段は整えていました。リモートワーク開始後に、段々と多くの機器を使いたいというニーズが高まり、「自宅にWi-Fiを入れる方法」、「自宅のLANの構築」などの質問が増えました。これに答えるために、説明ビデオを作成し、サポートしました。これにより、多くの社員はネットワーク環境が整った中で仕事をしています。

(Zoom 佐賀)

続いて、「機内サービスとしてZoomのサービスを提供する予定はありますか?」「パイロットがどのようにZoomを活用しますか?」という面白い質問です。

(JAL 岡氏)

検討はしています。今でも、国際線、国内線とも全ての飛行機にWi-Fiはあり、TCP/IPで通信しています。そういった意味では、Zoomを使おうと思えば使えますが、やはり飛行機から衛星を経由して地上につないでいますので、帯域幅の制約があり、皆さんにZoomを解禁して、使用していただくにはまだ難しい状況です。

パイロットそのものについては、多くの通信手段がコックピットに備わっています。決められたルールで、それぞれの管制と通信しますので、航行中においては、今の通信手段を守っています。将来それがさらに進化し、例えば世界中の管制がZoomを導入するとなればまた違うかもしれませんが、今の時点では、現行の施設を使用しています。それ以外には、飛行機も何かの事情があって、普段着陸しない空港に着陸するなど、そういった場合に、地上において本社とZoomで繋いで今後の飛行に関して相談といったことは今後考えられます。

(Zoom 佐賀)

次の質問です。「バーチャルの世界が、リアルの世界超えたと感じられることはありますか?」

(JAL 岡氏)

バーチャルでなければ、こんなことは起こり得なかったと思うようなことはあります。例えば弊社には、稲盛和夫名誉顧問に当社に来ていただいたときから継続している「JALフィロソフィ教育」があります。全社員が年に4回受けることになっており、これまでは、どこかに集まって受講していました。全社員三万数千人のうち、1回に100人程度までしかできないので、回数が大変多く、開催に大きなエネルギーが必要でした。これがコロナによって、バーチャル空間を使わざるを得なくなったため、若い担当社員たちが一生懸命にやり方を考え、今はZoomで行っています。これにより、これまでにない価値が生まれました。まず、人数に制限がなくなり、500〜600人規模での開催が十分できるようになりましたので、事務的な効率が上がりました。それより何よりも大きいのが、地区の偏りがなくなり世界中の社員が参加できますので、非常に豊かなJALフィロソフィの教育、ディスカッションができるようになりました。

(Zoom 佐賀)

最後の質問です。「岡さんご自身が、最近勇気を持って決断されたことを教えてください。」

(JAL 岡氏)

毎日が勇気を持った決断の連続です。中でも、コロナがこの春に深刻さを増した時期に、思い切って資源を投資して、全社員を対象に様々なリモート環境を整えたことだと思います。

(Zoom 佐賀)

本日は貴重なお話をたくさん教えていただき、ありがとうございました。また、皆さん、長時間ありがとうございました。

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